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新河岸川蛇行跡(旧字名振袖)に佇む水天王の石碑

新河岸川蛇行跡(旧字名振袖)に佇む水天王の石碑_d0250051_15374981.jpg
新年あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。

いきなりではありますが、冒頭の写真、新河岸川の蛇行跡で、画像右側が蛇行跡、左側は昔の堤跡です。
流れるような曲線に吸い込まれてしまいそうになります。
場所は埼玉県志木市中宗岡、旧字名を振袖、通称名で摺鉢と呼ばれていたのだそうです。
昨年2月から何回か足を運んだのですがご報告が遅くなりました。


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新河岸川の富士見橋~宮戸橋の中間辺りになります。


そして堤に刺さるような状態の、手前の碑は・・・

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「水天王」の碑文が読めます。水天宮ならよく見るけれど、水天王は初めて目にしたかもしれません。
側面には願主のお名前、反対側には天明九 己酉 等の文字が刻まれています。
堤の斜面(結構な斜度)に、しかもこの石碑もかなり傾いた状態で建っていました。

この石碑にすごく惹きつけられて、堤の斜面を転がり落ちそうになりながら暫くの間あらゆる角度から眺めていました・・・
もう本当に滑落寸前。


冒頭でも少し触れましたが、この石碑が立っている場所は今こそ乾いているものの、その昔は新河岸川が蛇行して流れていた土地でした。
(近隣流域には同様の箇所が複数残っています。以前の記事でも一部をご紹介しました)

以前の記事:新河岸川旧流路遊歩~取り残された蛇行跡を歩く
      地中に伏せられ失われた新河岸川蛇行跡



旧小字名は「振袖」。
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グーグルアースで確認すると湾曲の弧の中がグラウンドのように見えますが、私が訪れた時期は冒頭のように何らかの耕地?でありました。「弧の中」「内側」と表現したくなりますが、実際には弧の部分が江戸時代の堤だったので、なんか感覚が狂います。

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陰影が判る図ではこのような感じ。
黄色が江戸時代の堤、水色で示した線が今回ご紹介した蛇行跡(大まかなもの)。
繰り返しになりますが、朝霞市~志木市~富士見市辺りの新河岸川流域はこういった蛇行跡がいくつか残っています。

ミシンの下糸と上糸のテンションが合わなくて、糸がつれちゃった時みたいな形状・・・

確かに「振袖」に見えなくもないですね。ここで志木市の地名の本から、「振袖」地名の解説を引いてみます。

「振袖」~新河岸川の古川に囲まれた土地で、明治初年の地租調査の時、その面積三九四七平方米(三反九畝二四歩)筆数二筆、所有者引又宿持ちと記された土地であった。この土地は、引又飛地字振袖と呼ばれた。川の流れにより志木地区から古くに分離された土地で、振袖の形をしているところから名付けられたものであろう。

また、当該箇所の通称名として「摺鉢」とも呼ばれていたようでした。

「摺鉢」~新河岸川の旧堤外に字振袖を取り巻くように古川があった。いつの頃よりか古川も次第に埋まり、いろいろの形をした沼ができ、中でも一番新河岸川に近い所に、丸い摺鉢の形をした深い沼ができ、広さはおよそ150平方メートルであったが、戦後自然と埋まり、今では新堤敷になってしまったがその姿から誰とはなく摺鉢と呼び、釣り人に親しまれたという。

↑「摺鉢」の方の解説の、成り行きまかせっぽい経過が何とも好ましい。

「いつの頃よりか・・」「いろいろの」「誰とはなく・・


源氏物語か!?みたいな感じで甚だほわ~ん。川の蛇行跡でどういう訳か王朝文学の香りを勝手に感じた一瞬。

解説を読むに、「摺鉢」の方が年次が新しい感じなのかな・・・


とりとめのない感じになってしまいましたが、丁度一月も半分過ぎて成人式も終わった折、振袖に因んだ小さなお話をお届けしました。

近隣の蛇行跡の旧字名として「中袋」「女巻目(おんなまきめ)」「姥袋(うばぶくろ・ばあぶくろ)」などもあります。

志木市の古い地名のイラスト入りのサイトがとっても楽しい(絵に凄みがある)ので是非ご覧になってみて下さい。
例として「女巻目」(志木市役所の辺り)のページをご紹介として貼らせていただきます。

女巻目


新河岸川沿いにあった水神宮の石碑

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志木市のイメージキャラクターにも据えられ、街のあちこちで見られる河童像。
「遠い記憶ー波動」というタイトルが付され、川を見つめている姿にぐっときます。




江戸時代の堤の脇にある神社
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by onnbubatta | 2015-01-15 11:02 | 新河岸川 | Comments(2)
Commented by sumizome_sakura at 2015-01-18 03:37 x
おー、今年もよろしくお願いいたします(^^。

「摺鉢」の二文字に思わず目が釘付けになってしまいましたが……自然地形ならぬ自然地名ですねww。

「水天王」は私も知りませんでしたが、牛頭天王の祭祀って、どうも二種類ある感じですね。
一つは京都の祇園の八坂や姫路の広峯みたいに、外来の疫神の性格が強いもの。もう一つは名古屋の津島みたいな、水辺の祀りを強く連想させるもの。もちろん、前者も漂着や穢れ流しで水辺に関わるので、重なりあう部分も少なくないですが。

東京湾沿いの低地の天王社は、品川や神田などのも、後者により近い感じですね。沼地の氷川神社にも通じるところがあります。まあ、天王と氷川はスサノオつながりでもありますが。

祭神としての名はたぶん後からつけられたものですが、そういう神さまがあちこちにいる水辺だったのでしょうか。
Commented by onnbubatta at 2015-01-18 23:51
>sumizome_sakura様
こちらこそ本年も宜しくお願い致します。
台地と対峙する底、みたいな摺鉢ではないのですが、堤の際に立つと擂鉢に近い感覚はありました。スリバチというよりカレー皿とか盆に近いでしょうかw
牛頭天王の「天王」なのですね。結構作用の強そうな神様ですね。碑文が天明9、とあったので天明6年の関東一円の大洪水などを受けて、水を鎮める目的で建立されたものなのでしょうか。
これまであまり牛頭天王に関して水関係で意識したことが無かったのですが、近隣の和光市にある、荒川を臨む低地にぽっこりとした「牛王山」と呼ばれる印象的な孤立丘(夢見が崎を彷彿とさせる)を思い出しました。こちらは凸、字振袖は凹という両者ともいつしか取り残された土地という共通項もあって。
牛頭天王、何だか興味が湧いてきました・・・八雲神社もその系譜なんですね。


暗渠、猫、池、高低差、崖、弁天、軍遺構、建築、階段、廃線、天体   その他徒然(適当です)


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