川崎にて、陸の舟旅を。

久しぶりの「神奈川」カテゴリ。←川の名称に見えてしまいますが。

秋のとある佳き一日、川崎の大島~桜本付近、浜川崎~浅野駅付近に遠征した記録を綴ります。
 
~その時から、大島・桜本はとくべつな響きを持つ土地となった。私の中では。~

予習としては、東西南北の概況の把握くらいで。重たい道路地図しか無かったので、家宝の和楽路屋さんの地図(昭和41年)をコピイ
して一枚ペラで持参。(和楽路屋さん→明治5年創業、平成14年事業停止-破産宣告。社名は歩測調査を行った際に用いた草鞋に由来するとのこと)

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観音川の屈曲がイキイキと輝きを添えている&もう町中日本鋼管(現JFE)マインド。
日本鋼管のバレー部に在籍していた井上譲選手に憧れていましたっけ・・・


strangerな土地に身を置いて、只感じ取る。受け取る。目に入るものが全て新鮮でした。。
未知に委ねてゆらゆら。ユラユラ帝国。

川崎駅からスタート。川崎駅周辺は、以前夢見ヶ崎の記事を書いた際に確認に来たぐらい。(夢見が崎地名の由来を求めて徘徊したのが契機)

(宜しければ・・リンクはこちらから↓)

その際にラゾーナに残る東芝時代の遺構と、至近に在る女体神社を訪れて以来の訪問になりました。
夢見ヶ崎の加瀬山を掘削した土が運ばれて、低湿地だった東芝堀川町工場(現在のラゾーナ)の礎となっているのです。。


改札を出ると、階段の方に川崎市の大きなビジョン看板?的なものが目に入ります。
内容は、環境対策を講じた結果、工場地帯から出ている煙は煤煙ではなく水蒸気であるということ。知っていたようで知らなかった。。
ちょっとしたパラダイム転換が上質なスパイスに。

さて、加瀬山に思いを馳せつつも、今回はラゾーナとは反対側の出口へ向かいます。
「臨港バス」という、港湾マインドに満ちた乗り物での移動に胸が躍ります。
臨港バス、行先やバス停名も興味津々。「日東亜鉛」とかマテリアル感が前面に出ていたり、「エリーパワー」「ゼロ・エミ工業団地」とか、インダストリアル感を帯びていて、都バスではなかなか味わうことの叶わない京浜工業地帯の空気。

バスターミナルに来ると、一等地にありながら、シャッターへの落書き・ネットに覆われた姿が何だか痛々しいさいか屋に目を奪われます。商業構造の転換を見せつけられるようで。
ここの展望レストランから加瀬山を臨んだ、というコメントを以前頂いていたこともあり、今後の動向が気掛かり。

臨港バスに乗車するとすぐ、左手側の植え込み?のような場所に「御成橋」という石柱がひっそり植わっているのを確認。
その後も通りを真っ直ぐ進んでゆくのですが、新川橋、さつき橋、とバス停名にも橋が散見され、嗚呼、この通りは堀だったのだなと。
(この堀について調べていくと、川崎駅付近にあった鷭沼(バン沼)という湿地の話が出てきて興味深い)

つまりこのバスは船でもあり、私たちは船旅をしていることに。


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舟から降りて、最初の訪問地、大島八幡神社にて。ここは微高地だと教えて頂く。
神社の奥の方に、そこはかとなく置かれていた橋桁と木製の立札。いきなりの出会いに動悸が。。
後日にもこの橋桁を撮ったけれど、曇天下で横たわるこの姿の方が影が出なくて、石の質感や重量感が伝わってくるような気がしました。


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木製の立札に手書きの説明が嬉しいし(何だかお触書みたいで気分が上がるのです)、最後の「年代不明」体言止めもCOOL。


神社至近には昭和電工の社宅や昭和電工大島クラブ(迎賓施設?福利厚生的な保養施設?)があり、京浜工業地帯の一端が住宅地の中に垣間見えてきます。



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初回訪問時に気になっていた緑濃い一角。その時は地主さんのお宅かな?と思っていたのですが、改めて別の日に来て確認すると


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昭和電工の施設でした。


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大島の住宅街を迷いつつ徘徊していると、海員会館という建物も。玄関側には錨のモニュメントもありました。
建物自体が舟の雰囲気あります。
ここで舟を乗り換えても良いかもしれないね。


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 色鮮やかな幟に惹かれて近づいたら、そこにあったのが大島劇場。
初回訪問時に、大衆演劇のポスターが街に貼られていたのはここの事だったのか。。!
住宅街にいきなり演芸場が現れたのには驚きました。
そこには異界への扉が。。。

「かわさき区の宝物シート」に拠ると、

●終戦の傷跡からようやく復興の兆しを見せはじめた昭和25年(1950)に創業。かつては川崎区内に18軒の演劇場があったが、住宅街の一画に唯一今も残る大衆劇場。
●代々女性館長が切り盛りしてきた歴史を持つ。現在は3代目。元々は新川通り沿いにあったが道路拡張のため今の場所に移ったという。
●館内はこじんまりとしていて役者との距離感は限りなくゼロに近く、舞台と客席の一体感を味わうことができる。
●かつては一世を風靡した「下町の玉三郎」梅沢富美男公演も行われるなど、有名芸人も多く出演する若者の人気スポットとなっている。
●東京大衆演劇劇場協会所属の劇場は、木馬館大衆劇場(浅草)、篠原演芸場(十条)、立川大衆劇場(立川)、そして大島劇場のわずか4軒という貴重な存在となった。

限りなくゼロに近い・・・限りなくゼロに近い・・・何という臨場感溢れる説明だろう!!
新川通りに面していたという事は、水路沿いの劇場だったのでしょうか?嗚呼、そんな目で眺めれば良かったあ~~
 


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大島の住宅街にて遭遇した、人の横顔にも見える造形のブロック塀。
これ作為???

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年中行事が盛り込まれた町内会のお知らせ。画鋲サビさび、楽しいぜ!というちょっとラフでカッコイイ呼び掛けにも引き寄せられます



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多分、粗大ごみの回収は申込制、という事を伝えたい看板だと思うのですが、字が消えかかっている&サザエさん風のヘアスタイルによって色々な解釈が出来るようになっています。
私には「通報スタイル」に見えるけどなあ。不思議な形の影が作用しているのかしら。闇電話。
児童公園にて。


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「水門通り商店街」や「水門ビル」がある一角。水の匂いが濃厚に。
(葛飾の古隅田川沿いに、水門の屋号(商号)の会社やお店有り。事例として挙げておきます。)

ここから、韓国料理や食材のお店が並ぶ商店街へ。
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店先やサインに見所が非常に多い。上のは象形文字を感じさせるのと、ステッキでリズムが生まれる躍動感を気に入って撮影。


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統治していそうな団体。まずはここに挨拶することから始まる、みたいな。

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コインパーキングの奥に残る廃タイル。
過去の建物の生活が、はみ出している。水と生活の痕跡が哀しく垣間見えて胸を打たれます。
恐らくお家の一番奥がお風呂場だった痕跡なのでは?

廃タイル事例のブログ記事はこちら→前谷津川 梶谷津源流。廃タイル哀タイル

別の場所の事例写真
文京区、板橋区
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渋谷区、港区


大好きなタイル痕で脱線。川崎に戻ります

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席をあっためている猫。
猫ちゃにいっぱい会える街。優しい人達が多いあったかい土地。
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にゃおん

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かなりの別嬪さん。しなやかな姿態で媚態され、眼差しに完全KO。

初回訪問時に買いそびれたキムチを無事入手。(追い川崎訪問はキムチ購入がメイン目的にも据えられていた)
気に入ったのはキムチの塩辛♪

住宅街も、商店街も、時を経たものが随所に残されていて。


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そして予想外に訪れる事となった「姥ヶ森弁財天」。
川崎市のサイトで名前だけ目にした事があり、頭の片隅にそっとしまわれていた感じだったのですが
案内していただける運びに。こういう流れが本当に嬉しくって痺れてしまう!サプライズ漂着。

高速の至近&工業地帯のイメージが色濃い街区にこういった名所旧跡(しかも弁財天)が潜んでいる大いなる意外性。
その乖離になかなか追いつけないでもがいている状態。溺れそうになりました。

そんなこんなであまり写真も撮れなかったのですが、柵に護られた井戸を。
秘めたる小窓に想像力を掻き立てられます。

~潮香る街で辿り着いたREAL WATERで、各自思い思いに渇きを癒す。~
そんなまぼろしの感覚を抱いて。ん~ごっくん。

現在は町内会館の隣に小さく、圧縮されたような佇まいで平成の今に表出している形ですが、昔はこんもりとした森で(姥ヶ森)沖を航行する船の目印でもあったという話。
この点もなかなか理解が追い付かない。本牧十二天があったような、突出した断崖が航行の目印だったという話ならまだしも。。

曰く不可解。摩訶不思議な一角なり。おかしな感覚に陥ったのでした。。


そして、不動産会社「ユナイト」の物件などを歩きながら鑑賞して(会社サイトの代表挨拶のコーナーが類を見ない形式で面白い)
浜川崎方面へ。

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イカのお化けかと思いきや鉄塔の擬人化。凄い形相w 恐怖政治っぽいぞ。

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「明るい都市の建設は環境公害の防止から」神奈川県衛生会

スローガンに時代を感じる。公害が発生していたからこそこのような啓発に至ったのでしょう。
明るい都市という言葉と、参加して錆びついた現況の乖離をまた泳ぐ事になる。ああ忙しい。


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浅野駅構内でひっくり返っていたベビーカー、もとい乳母車。
天地がひっくり返るような事態にしたのは何だったのだろうか。。時空でも歪んだのだろうか。


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ねえ。


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浅野駅の線路。素敵な溝がある。



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浅野駅近くに残っていた立派な橋跡。欄干の間から草がはみ出している何とも言えない風景。
調べてみたら、地図中の運河がかつて左に(入船公園側に)折れていて、その部分の掘割に架かっていた「豊橋」の跡だという事が判明しました。




開渠となって残る運河部分と、暗渠となった川崎運河の形状に誰もがそそられますね。
川崎運河は京急が開削したものの、あまり使われず結局埋め立てられたという不遇な経過に同情を寄せてしまいます。悲しき運河。

そして川崎運河跡沿いにあった「ワイルドブルーヨコハマ」という一世を風靡したプールが忘れられない記憶。

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掘割跡付近に、気になる造作物(遺構?)が。
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「豊橋洞道」の表示。東京電力の設備が設置されていました。

~それぞれの鶴見線。知らぬ間に川崎から横浜へと境界を渡りつつ。~


続きはまた改めて綴ります。

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by onnbubatta | 2015-10-25 16:02 | 神奈川 | Comments(4)
Commented by sumizome_sakura at 2015-10-26 00:29 x
うむ、広大な沼地をゆくランボーの酔いどれ船を思い出させる道行ですね(^^。
Commented by onnbubatta at 2015-10-26 23:49
> sumizome_sakuraさん
ランボオの酔いどれ舟、初めて読みました・・。感想を表すのが何とも難しいですが、耽美と乱調が波のように押し寄せていい意味で船酔いしそうでした。

書き進めていて、呉越同舟とか護送船団方式とかそんな用語が浮かんでは消え。
ええい趣旨が違う~とクルーズ、に置き換えを試みたものの、何かしっくりこなくて。

酔いどれ舟が似合うのかもしれません。酩酊号、出航しま~す。(汽笛の音。)
何だかちょっとくらい沈んだり、揺れたり、漂着したり、楽しそうな船ではあります。
Commented by sumizome_sakura at 2015-11-05 04:52 x
ああ、読んでる方としては、川崎駅南側の土地を行く感じと「船」の譬えがなんともうまくあっていて。この感じ、どっか憶えがあるなと思って、ランボーを思い出しました。たぶんランボーの読み方としては、決して標準的ではないと思いますが(笑)。

でも、詩人をとっととやめてエチオピア高原で商人やるような人ですからねー。意外に近いかもしれません。

神奈川がらみだと、以前の記事のコメント欄に書いたように、「潮田」(夕方バスに乗られたあたりです)は『小田原所領役帳』に太田家の領地としてでてくるので。夢見が崎と同じく、太田道灌の夢の一部かもしれません。当時の「潮田」がどの範囲かはわかりませんが、あの一帯は、今の潮田や大島八幡などもふくめて、おそらく微高地が数珠つなぎに島状に点在していたのではないでしょうか。姥が森もそんななかの、小島の一つだったのでしょう。

そういう痕跡が今も、やはり小島のように、ぽつんぽつんと残っているのも、心ざわめきますね。もうかなり前に陸地化している土地なのにに、なぜかどこか今も水に浸っている感覚がずっとしていて。
その辺も「酔いどれ舟」な道行でした。
Commented by onnbubatta at 2015-11-07 10:43
> sumizome_sakuraさま
今回巡らせて頂いた行程は、島巡り周遊だったのですね。改めて地図を眺めると島地名が取り巻いていますし、大島辺りは浮洲であったようです。
「川崎の町名」を引くと、
‘微高地の塚や小山には草木が生い茂り、松も植えられて森と呼ばれた。東京湾沿いの小田村~大島村には浅間ノ森、姥ヶ森、大島権現森があり、小社が祀られ、漁を終え帰村する目当てとして森が重要視されていた‘とあります。
以前言及したかもしれませんが、横浜市のサイトの絵図にはそんな土地達ががプカプカしている様子が描かれております。
http://www.city.yokohama.lg.jp/tsurumi/information/introduction/history/no11.html
本当に、海は遠ざかったのに、塩分の浸みた、しょっぱい、湿り気を帯びた感覚がありますね。波音や潮の香りも立ち上がるような。
町名の本に拠ると、大島八幡神社にある新田開発の頌徳碑に、大島~桜本辺りの潮除堤造成工事に関して、「幾度となく山のような怒涛が押し寄せては長堤を一朝にして烏有に帰した」のような記載があるとの事です。現地では気づきませんでしたが。。
潮田地名、コメント頂戴してからはやはり特別な響きを付与されています。道灌さんの夢の断片がここら辺りにも散り浮かんでいたんですね。

暗くなり始めに一人で知らない土地のバスに揺られ、少ししんみりとした憂い気分だったのですが(河口のせいかも?)、鶴見までのバスルートが思いのほか不思議な景色だったので、その周辺も再訪しました。また追憶記事を書く予定です~。

しかしランボオさんには驚愕。poetからmerchantへの転向ぶり。
高原へ高飛びして手固くやってたんでしょうか。一部方面で詩人とありがたい評価を頂戴している私も思う所ありです。


暗渠、猫、池、高低差、崖、弁天、軍遺構、建築、階段、廃線、天体   その他徒然(適当です)


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