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川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄

今回のお散歩は戸田漕艇場。これで99回目の記事になります。

第18回東京オリンピックの舞台ともなった歴史あるコースです。

唯一の静水(ここでの定義はよく把握しておりませんが)にして、淡水の漕艇場であり、
橋を境に西側を競艇場、東側をアマチュアの漕艇場として利用されています。
東端には各大学や企業の艇庫(結構立派)もあり、水着のようないでたちでランニングしている学生さんを見かけました。医大や女子大の艇庫もあります。

国内で一番狭いというけれど、全長2・4km、幅90m、
水深は2.5m

2・5mもあるんだ・・・・

幅は建設時より拡張されて今に至っているとの事。



荒川左岸に平行しています。
コース西端辺りで繋がっている、南北に流れている川は笹目川。(水門は永く閉められているらしい)ちなみに笹目川の水源は浦和の白幡沼に発します。(白幡沼の水は用水に流れ、笹目川は人工河川、としている説もあり)

コース東端で接しているのは菖蒲川。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

~沿革を辿ると、昭和の初期に幻の第12回東京オリンピック(第二次世界大戦の為中止)を招致する目的で造成され、戸田の他に琵琶湖、千葉の手賀沼、新河岸川、鶴見川などが候補地として挙げられていた中で鶴見川が断念した事でボート会場の開催地が戸田に決定したものの、上記の理由で実際に使用されることはありませんでした。

工事は、荒川周辺の低湿地であるこの近辺を洪水の被害から守る「瀦水池(ちょすいち)」としての
内容を併せ持つものであり、当時の情勢下掘削機等の重機も不足する中人海戦術を持って行われ、労働力として浦和刑務所の服役者を動員
したと資料にはあります

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

瀦水の字が難しい~。「猪木みたいな字」と頭にインプットしました。ダアアーー

荒川の氾濫時や豪雨時に内野部に溢れる水を、巨大プールに瀦水するのですね。。(瀦、使ってみました)
戸田市に関する資料を見ていると何度も「水はけの悪い土地」に苦しんだという記述を目にします。

工事動員者数47万人のうち15万人を服役者で占めていたとか・・・
延べ人数ですよね、びっくりした。

水害対策としての目的もあったボートコース建設ですが、その他も競艇場として至るまでの曲折が色々興味深い事ばかり。
ギャンブル場ですから、PTA他の反発があったり。「日本のモナコにする気か」。。

★参考資料:日本財団電子図書館 競艇沿革誌

川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_16545710.jpg
競艇のキョの字も知らないおいら・・・
「競艇はスタート一発勝負だからね~」と聞かされてはいましたが。
狭いコースなら尚更でしょう








モーターボートと聞くと「一日一善」と自然に口について出てくる世代です。
戸締り 用心 火の用心・・・って。

川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_16573699.jpgドンチャック???じゃないですよね・・・
でもこのげっ歯類具合が似すぎ。














川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_17069.jpg漕艇場側から。
水際に降りて行ける、この際の景色が好きです。スロープが素敵。















川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_1724184.jpg立教大学のボートハウスが現代的。新しくして間もないのでしょうか。
ボロボロの小屋みたいなのをイメージしていました。建て替えを待つ大学の艇庫もこの日一つ見掛けました。







川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_1762685.jpg色鮮やかな、漕艇マンホール!
















コースの向かいにあった、だだっ広いTBSラジオの送信所。
川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_17102669.jpg
広い敷地に、送信搭やら空中には電線やらがいっぱい。びりびり。
好きな人いらっしゃるんでしょうね~。

私はここで小川哲哉さんの声をひたすら思い出していました。
電リクしちゃおうかー。


ちょうどこの頃(夏)は軍の送信所にいろいろ興味がつながっている時期でしたので
(船橋の行田、佐世保の針尾等々)送信所に呼ばれたんだな・・・と勝手に何でも関連付ける困ったさん。でもそういう時ってある。波長っていうのかな、向こうから関連した情報や単語がぼんぼん飛び込んでくる時って。



そして本題。
「浦和刑務所の服役者が動員され・・・」の記述に
「ああ浦和ね。浦和のどっかにあるんだよね。」くらいの認識しかありませんでした。

調べてみると浦和刑務所というのは無いのです。今は拘置所ですね。
現在あるのは、埼玉県庁のそばの「川越少年刑務所 さいたま拘置所支所」。

地図を見ていたら、拘置所脇には崖沿いのうねる道が。匂いたつような。



川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_10182656.jpg少々ぼけてしまいました。
いかにも水が流れていたであろう雰囲気を漂わせています。
しかもこの道かなり暗い。


























川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_102155100.jpgここはまだ東側が駐車場で開けているので明るい方。





























川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_10244395.jpg崖上は拘置所や官舎の敷地。
崖下にも古い、おそらく無人であろう官舎が。

難を転ずる、で縁起物の南天を崖上に発見しました。









川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_10273168.jpg崖下に埋まっていた古井戸。
浦和は地下水に恵まれた地域で、マンション建設時に水が噴出して一晩中止まらなかった事例もあるのだそうです。
カッパ着て、汲みに馳せ参じたし・・・






川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_10301374.jpg最後、またぼけてしまいましたが古そうな石組み。
こういう箇所を歩いていると何となくいけない事をしているようで、うまくカメラを構える事叶わず。









この崖低地は白幡沼(後述します)の方からずっと連続しているものと思います。
白幡沼は笹目川、笹目川は戸田漕艇場と水面でつながっています。
水を媒介した、因縁めいた不思議なつながりを想起させます。

結局戸田漕艇場→笹目川→白幡沼→白幡沼からの緑道暗渠、を辿り、拘置所脇の崖にまで遡上し、常盤公園の辺りまで北上して辿りましたが・・・


 
 そうして市役所付近まで歩いてきて、刑務所関連の施設が意外な場所にあり。

川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_1036106.jpg鯛ヶ窪(素敵な古名)橋という陸橋がかかる新道の交差点。信号向こうの、金網に囲われた一角。
周りにすっかり取り残されたような空間。

鯛ヶ窪橋が架けられる以前はどのような空間だったのか・・・
真下は崖地になっています。


川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_10384837.jpg拘置所管轄の墓地。

墓地といっても、あるのは墓石三基と、石碑。












川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_1043277.jpg

















川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_10462434.jpg近寄れないので遠景になりますが、一番大きな石碑に「更生」の文字が。更生園でしょうか。


























川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_10483830.jpg隣地の民家より小高く位置しているのがわかります。
















川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_10493355.jpg
































川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_105095.jpg墓石に「浦和監獄」「合葬」の字が彫ってあります。

墓碑に近づいて日時やその他の文字が読めればここに監獄の墓がある経緯などもわかると思うのですが・・・

おそらく浦和監獄で亡くなり、引き取り手の無い受刑者をここに合葬したのでしょう。













浦和監獄には秩父事件の関係者も多く収監されていたそうです。まだ10代の者も。
金網の外から手を合わせて、その場をあとにしました。


戸田漕艇場建設に携わったとされる浦和刑務所の受刑者。
戸田漕艇場に水門で繋がっている笹目川を北上し、その水源とされる白幡沼の谷をさらに北上すると
現在の拘置所脇に。(その谷の名前がわかりません)

そして谷を更に北上し、谷から少々離れた場所にあった監獄の墓地。往来の激しい新道脇に佇む、監獄の旧い痕跡。
うまく描けませんが、何故いちどきに結びつくのだろう・・・もやがかかった一貫性。


次回以降にその浦和監獄と漕艇場の中間に位置する白幡沼について綴りたいと思います。
(別所沼も訪れています)


浦和ね・・・大宮台地の南端、なだらかな起伏が狭い間隔で迫ってくる、東京や横浜の荒々しい谷とはまた違う魅力ある一面を持つ土地。

ローライズな感じですかね。
歩いていて浮かんでくる文字は「堆」

浦和を冠した駅名がいっぱい。東西南北、武蔵、浦和美園。

かなり虜です。
線路が描く面白い空間も!また次回以降に

川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_11192156.jpg





















川で繋がる、戸田漕艇場と浦和監獄_d0250051_17303626.jpg
by onnbubatta | 2012-12-13 13:22 | さいたま | Comments(8)
Commented by nama at 2012-12-14 15:20 x
もうタイトル拝見した時点でびんびんと来ていましたが、たいへん面白かったです!各所が、水を介してつながっていく感じ・・・そしてその暗渠道の地図での見え方がまた・・・とてもすてきな散歩をされましたね~。わたしが受信専門の軍跡に行っていたあのときですよね。谷戸ラブさん、猫またぎさんと、なぜかコレ系でつながったのも興味深い時期でした。

自分はギャンブルめしとか言っている割に、戸田の競艇場は未訪問なのです。そんな立派な歴史があったんですね。砂利を掘ったら穴が開いたからと転用した某競艇場のことを思うと、それぞれの歴史を紐解きたくなってきましたよよよ・・・w

旧い友人が、大学の時に競艇部に入り、まさに戸田のここにも試合などで来ていました。当時のわたしはそうでもなかったけれど、今すごく彼女が羨ましいです・・・あ~ここ使っていたんだな~、と。1回くらい、応援に行けばよかったです。

Commented by onnbubatta at 2012-12-14 20:37
>namaさん
びんびんのお褒め言葉を頂戴し、嬉しいです。
今回はアースダイバー的要素を強く強く意識させられたお散歩でした。
(それを筆致で表現出来ない構成力が惜しまれる・・・)
偶然の一致なのか、もしかしたら意図的な水の系譜があったとしてもおかしくないな~、と。全容を解明したくないような複雑な筋を感じます・・・
白幡沼から県庁付近までの暗渠は名前がわからないままでそこがすっきりしていません。

競艇場の成り立ちとかコースの特徴とか、本当に興味深いですよね。
私の親戚もボート部時代、ここで練習していたそうです。
ヨットとか、ウォータースポーツ、格好良くて憧れますね。自分には全く縁もやる気もありませんが・・・
Commented by sumizome_sakura at 2012-12-30 16:11 x
なるほど「堆」ですか。
大昔は、利根川が大宮台地の西側をとおって、荒川と合流していた時期があるそうです。そのころの流路は現在の毛長川あたりで、だから、大宮台地の南端から荒川までは、当時の自然堤防帯が緩い凸凹をつくっているんだとか。いかにもそんな感じですね。

武蔵野丘陵の谷もそうですが、昔、もっと大きな川が流れていた後の名残りの地形って、なんか心を惹かれますね。

そういえば、宇賀神+弁財天ってどこだったんですか?(^^
Commented by onnbubatta at 2012-12-30 19:10
>sumizome_sakuraさん
ちょうど、先日春日部近辺の古隅田川、旧古隅田川などを少し見て来て、本当この周辺は流路の変遷を幾度も経ていて「過去の大河」だらけでわくわくしました。入間川と呼ばれていた川もありましたね。
毛長川はちょうど今猫またぎさんのレポートされている箇所ですね。http://ankyoneko.exblog.jp/19689573


大落古利根川、なんて惹かれる川も春日部にありましたよ。

この間NHKで弁財天の特集があり、井の頭弁財天の一角に頭にとぐろを乗せた宇賀神があるそうです。
来年は12年に一度の御開帳もあるそうですが、宇賀神も一度見てみたいです。
Commented by sumizome_sakura at 2013-01-02 06:16 x
あ、明けましておめでとうございます。今年もブログ、楽しみにしております。

春日部の古隅田川ですか。江戸時代より前は、あそこが武蔵と下総の国境で、香取神社はあの川の東側にしかなかったそうですが。すごくダイナミックに流路がかわっているんですね。

教えていただいた猫またぎさんのも見せてもらいました。ゆるい凸凹ぶりが楽しい川筋ですね(^^。

NHKで弁財天の特集をやっていたとは。。。。見逃してしまいました。宇賀神弁財天は日本独自の神さまで、特に水と関係が深いようですが、各地にあるんですね。私も見てみたいです。
Commented by onnbubatta at 2013-01-04 14:36
>sumizome_sakuraさん
明けましておめでとうございます。こちらこそ今年もご指導の程宜しくお願い申し上げます。

神社のテリトリーが川を境界線としている話、面白いですよね。
最近埼玉の方を調べている過程でも関連した記述を見つけて気になっていました。
足立区の綾瀬辺りの古隅田川もうねうねしていて楽しいですが、
埼玉の方はスケールが大きくて、ムサシムサシしていて圧倒されます。

今朝7時台のNHKニュースでも井の頭の宇賀神が一瞬映っていました。
呼ばれているのかもしれません・・・
Commented by 猫またぎ at 2013-01-28 09:59 x
あ、ちょっとこのところぼやぼやしておりまして、ご紹介いただいていたのに気づかず、失礼しました。
「大落古利根川」って響き、かっこいいですよね。
「おおおとしふるとねがわ」って読むんでしょうね。

私の方は、仕事の方が無茶な状況になってきまして、3月末まで一歩も歩けなさそうな見込みです。
Commented by onnbubatta at 2013-01-29 08:44
>猫またぎさん
大落古利根川、要素が盛り込んであって本当にいいですよね。しみじみ、噛みしめたい味わいの響きです。「○○落とし」という用水もこの辺りにもいくつかあって、本来の意味が出ていていいですね。

猫またぎさんの方もお忙しそうですね。「酒場放浪記」も密かに期待しています。


暗渠、猫、池、高低差、崖、弁天、軍遺構、建築、階段、廃線、天体   その他徒然(適当です)


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