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旗の台:昭和大学そば。野の花咲き乱れる傍流蓋暗渠

超久しぶりで、立会川関係の暗渠について綴ります。

最寄駅は東急大井町線&池上線の旗の台。人生で初めて降りた駅ゆえ、概要の把握すら未熟です。
イメージは、自由が丘のような形状で斜め交差した駅、香蘭女学校の最寄り駅。「女学校」名称や変わらない制服、落ち着きを覚えます。

ちなみに香蘭女学校、トットちゃんの出身校との事です。

今回ご紹介する水流は明治期の地図にも記されているので、呼び名があるのかも知れませんが(また他の暗渠家の方が名付けているのかもしれません)、個人的には至近に立地する昭和大学の卒業生、高須クリニックの高須院長のイメージが強く、作業する中では「高須院長の暗渠」と呼んでいます。

昭和大学のHPには実に素晴らしいページがあって、
 
昭和大学本校舎と伝染病棟の間に架けられていた「医専橋」の話、昭和初期の立会川周辺の様子、1930年代の校舎と雪景色の立会川の写真、昭和30年代の校舎と「屋敷下橋」の写真など貴重な写真を見ることが出来ます。



傍流は、本流(黄緑ライン)のすぐ東を沿うように流れています。中原街道(クリーム色の道路)の旧道あたりからみていきます。
恥ずかしながら、中原街道についての意識が今迄薄くて。
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中原街道のすぐ南にあるややカーブのきつい道が旧道。旧道に面して、その水路跡は現われるのです。



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ブロック塀が橋跡になっているようにも幻視します。現代の橋:ブロック塀の暫定さ加減。




そして・・また別の日に撮った別の姿。ひらひら~幟り旗と、ブロー台。

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水路跡が見にくくなっているけれど、かえって「旗の台」に似つかわしい旗が強風に揺れる風景が現れて。源氏の白旗が蘇り、気持ちが高まります。
「はた」地名って、もののふ感が感じられて好きなのです。

旗の縦横両方の並びバージョンが見られて良かった・・・
この水路跡は一旦、奥に見えるマンション敷地で遮られます。


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少しずつ荒れた雰囲気が出てきました。



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一旦引き返します。

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ちょっと石が飛び出してくるのも風情があります。



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北に向かって(上流方向へ)、回り込みを開始。


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あった!続いてた!こちらは路面高から一段低くなっています。

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プランター手前辺り、接道面へ向けての質感がザクザクしていて非常に好感が持てます。

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一歩失礼して、水路側から。
この先は中原街道を堂々と横切る訳ですが、果たしてどういった状態になっているのか・・・こんな細流が大きな通りを越えていくさまを想像すると気持ちが込み上げてきます。

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南国っぽい鉢。名前は解らないけど単子葉系かな。こんなに綺麗な水路跡を見せてくれてありがとう~。の気持ちを抱いたまま、幹線道路の中原街道を渡ります。
建物の区割りなどをみながら、推定して辿って行きます。



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建物の建ち方を観察するに、木曽路の左手側に流れがありそうなのですが、ここは目視できるはっきりした痕跡はなし。
木曽路は全て川のそばである。などど都合の良い一節を創作して呟いてみたり。


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壷とかタライとか、容器系が置かれているのも暗渠サインの一つにはなるケースも多いのですが。。。決め手に欠ける感じ。

この先で錦湯という銭湯に差し掛かります。が、痕跡はわかりませんでした。(ちょっとこの辺り確認が甘かったかもという反省点)
(※痕跡の確認できなかった箇所の推定流路はオレンジで示しました)


再び中原街道に出てきましたが、この辺りは不思議な空気が充満していました。地図ピンク丸で囲った、変形六差路辺り。


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中原街道に面して建つ「木霊稲荷」とサイゼリヤの看板。

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続いて、札場の跡。「中原街道高札場跡」



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それにしても、何とも不思議なサイゼリヤだ。ちょっとした螺旋階段の下に石材が集積している。

改めて木霊稲荷の沿革を読んだら、「別名 不思議稲荷という」(不思議と願いが叶うらしい)。


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右が中原街道。現われた三角地帯の奥に、庚申塔がありました。
説明書きに拠ると、「~日蓮宗の影響か、青面金剛・日月・三猿の彫られていない文字塔として特色がある。全村のほとんどが日蓮宗といわれる旧中延村において、日蓮宗の僧が指導したと思われる庚申塔の存在を示す資料として貴重である。」との事。

古い地図を見ると、この三角地帯を含む一帯が「延山小学校分校」の表記がなされていました。


稲荷、札場、庚申塔・・・この一帯は地域の重要な場所だったのですね。

江戸時代の中原街道は江戸城の虎ノ門から相模国中原(平塚郊外)に通じる街道で、東海道が整備されるまでは主要道路であり、その間には小杉と中原に御殿が設けられたそうです。東海道整備後は幹線道路から脇往還へ変わり、江戸への食糧などの流通路となり、なかでも中原の特産品である酢の輸送に利用されたので「御酢街道」とも呼ばれたそうです。サワ~街道。

主役から脇役へ・・・東京にいながら「中原」(平塚)の地名を纏う。。。酸味・・・帰ってから知った情報。これらを持って現地を歩いたなら、また違ったものが見えてきたかもしれません。


この左側の道へ進んで、水路の痕跡を更に辿って行きます。

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付近を歩いていると、昭和大学関連の建物がまとまって、ではなく点在しているのが面白かったです。

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こちらも、昭和大学の施設になる模様。


と、水路跡の続いていそうな路地に勇気を出して入ってみると・・・



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個人宅の縁側のような空間に水路跡が現れました。蓋にまだ白さが残っていて、新しい質感!
写真を二枚だけ撮って、そそくさと脱出
(上流方向)

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(下流方向)

道路との交差点を目指して、再び回り込んで行きます。ゴムパチンコのような形状のY字路にふと墓域が収まるように立地していたりして、やはり何か面白い場所だなと思いを抱きながら歩きます。(住宅地図で確認すると「法蓮寺 上ノ墓地」と書いてありました。荏原町駅の方の法蓮寺(旗岡神社の隣)の境外墓地(お寺のHPによると離れ墓地と表現されていましたが)になるようです)

普段街を徘徊していて、境外墓地って、何だか非常に惹かれるものがあるんですよね~。特に気になるのは、新青梅街道にある三宝寺境外墓地。早稲田高等学院のそばの。川に近い立地もさることながら、こんもりした塚みたいなのがみえるのです。



と、墓地を過ぎて左に曲がると・・・
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パイロンとビンボウ草が私を迎えてくれたのです。
何かユニット名みたいだな。「パイロンとビンボウ草」
旗の台:昭和大学そば。野の花咲き乱れる傍流蓋暗渠_d0250051_11403568.jpg
塔の如く聳え立つ赤パイロン、育ち過ぎたビンボウ草。
野の花咲き乱れる暗渠に降り立つことの出来た喜びよ。


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手前は蓋が付いていますが、奥は(下流側)一段低くなっているようです。


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蓋有り部分(手前)と奥の溝形状部分、の境目です。ここは細部をよく観察。

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奥ではポピー?ナガミヒナゲシ?が咲き乱れていました。訪れる人もないのに。ポピー系の花言葉は「慰め」だそうです。
虞美人草に慰められた事にして、美しい話と仕上げましょう。ナガミヒナゲシ、国立環境研究所の「侵入生物データベース」にも記載がある外来種で、「乾いた肥沃地を好む」との説明がありました。

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戻り画像。同じような画像が続きますが、筆者なりの細部をお伝えしたいこだわりがあるのです・・・
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戻り方面から見た、蓋部分と溝部分の境界


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明治期の古地図に載っているようなニョロッとした短い区間の水路跡を、都会の裂け目・隙間に見出す驚きと感動。
こういう出会いがあるから、水路跡歩きはやめられないね。

夢幻の如き空間から、路面方向(現実現在)へと戻ります。

このあとは、猫またぎさんが以前書かれていた「旗の台の暗渠」を見学に行きました。次回私もご紹介できるかな・・・?



おまけ。

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立会川暗渠cat。見返り美人。

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委ねる系。




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中原街道にて。


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ちょっとアヴァンギャルドなクレオパトラ風の麗人にも出逢いました。
トットちゃんに似ているかな、心なしか。




by onnbubatta | 2016-05-11 12:34 | 立会川 | Comments(0)


暗渠、猫、池、高低差、崖、弁天、軍遺構、建築、階段、廃線、天体   その他徒然(適当です)


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